西野監督の賭け
サッカー日本代表が決勝トーナメント進出を賭けた大一番、ポーランド戦。
結果は惜しくも敗戦だったものの、セネガル戦との兼ね合い(フェアプレーポイント)で、薄氷を踏むようなぎりぎりの予選突破を果たしました。
西野監督は、このポーランド戦で、賭けとも思われるようなスタメンの大幅入れ替え(6人の選手)を行いました。
スタメンの入れ替えの狙いとしては、すでにイエローカードをもらっている選手や、疲労がたまっている選手が、予選を突破し、決勝トーナメント進出したときに万全な状態で闘えるように、というものだったのでしょう。
西野監督、ポーランド戦一夜明けイレブンに謝罪「素直に喜べない状況をつくってしまった」|スポーツ報知
西野監督の選択は、まだ日本がたどり着いたことのない境地、「ベスト8」を見越して打った賭けだった。
ミスの続くGKの川島選手を引き続き起用したのも然り。
そう考えると、主力を温存して突破を決められたこと、そして川島選手の活躍は、賭けに勝った、ということで、その点ではベルギー戦でも「もしかしたら」は起こりうるかもしれません。
ポーランド戦のスタメン漏洩
一方で、このスタメンの入れ替えに関して、ポーランド戦の試合前、すでにマスコミが報じ、情報が表に出ている、という事態が生じました。
これでは相手に対策も考えられてしまいます。
試合前、非公開練習で、これほどの大胆な変更にも関わらず、一部の新聞社は、ほとんど正確にメンバー予想を的中させました。
このスタメン漏洩について、試合後、本田選手や長友選手がマスコミに苦言を呈しています。
まず、本田選手はツイッターで次のようにマスコミを批判しています。
メディアの皆さん
ポーランド戦前にスタメンを公表してたけど、練習は非公開やったわけで。。。
真実の追求するポイントがいつもズレてるよ。
選手達も普段、後ろにファンがいるからと思って喋ってるんやから、もうちょっと考えてください。
— KeisukeHonda(本田圭佑) (@kskgroup2017) 2018年6月29日
また長友選手も、報道陣の前でこのスタメン漏洩問題について目に涙を浮かべ、険しい表情で語りました。
「みなさんにお願いがあります」と、重々しい口調で切り出した。ポーランド戦を前に一部メディアが先発6人の入れ替えなどチーム内の機密情報を掲載したことに対しての“苦言”だった。
「試合前日にスタメンの記事がありましたけど、あの記事を見て、すごく残念でした。一緒に戦う日本人として、選手みんなが残念な気持ちになりました」
(中略)
「(ポーランド戦は)絶対に分からないだろうというレベルのスタメンだったと思うんですよ。あのスタメンを当てるというのは明らかに内部から漏れているか、外から見ているのか。すべてを懸けて戦っている身として残念なところがあった」
(中略)
「僕たちはブラジルW杯が終わってから4年間、このロシアW杯にすべてのエネルギーを懸けて、覚悟を持ってやってきた。この(W杯)期間だけでも、同じ日本人として同じ仲間として僕たちに力を貸してほしい」
非公開練習だったにも関わらず、一体なぜ、こうした信じられないような情報漏洩が起こったのでしょうか。
スタメン漏洩と日刊スポーツ
そもそも、このスタメン漏洩のもととなった新聞社とはどこか。
試合の前日に6人変更、岡崎と武藤のツートップ、という風に報じているのは、日刊スポーツです。(追記あり。その他、全部で四社が報じています)。
日本代表の西野朗監督(63)が今日28日の1次リーグ突破がかかるポーランド戦に、超サプライズ布陣を送り出す。
3戦目で初めて先発を入れ替えるが、何と過半数6人も変更する可能性が浮上。初戦、2戦目で得点した4人を引っ込めFW岡崎慎司(32)、FW武藤嘉紀(25)の2トップを採用する見込みだ。引き分け以上で突破が決まる大一番。ここまで采配ズバリの勝負師が、大バクチに打って出る。
スタメン予想がフォーメーションも含め、全部当たっています。
この件に関する本田選手や長友選手の批判について、日刊スポーツの方では特に反応はまだないようです。
当然ながら日刊スポーツはこのコメントは掲載してない。マスコミ各社は(人間のように)それぞれの欠点はあるが、日刊のそれはきわめて下品。#W杯ロシア大会
長友が“スタメン漏洩問題”に言及「ちょっとした情報も命取りになりかねない」 https://t.co/A6Drlq7LlU
— popo_the_cat (@popo_the_cat) 2018年6月29日
これ、選手が個人的に言うんじゃなくて、協会が直々に抗議する案件だと思うんだけど。
日刊スポーツ、非公開練習の意味分かってる?
長友 スタメン漏洩で異例懇願 | 2018/6/30(土) – Yahoo!ニュース https://t.co/xJrENKnI92 @YahooNewsTopics— 樹 (@itsuki3desu) 2018年6月29日
素人目に見ても事前にスタメンがわかるのは不自然だったな。売上目的なんだろうけどなんだかな。
にしても本田、長友と、メディアに強く出れるベテランがいて良かった。若手ではできなかった対応長友が報道陣に異例のお願い…“スタメン漏洩”に「残念だった」(ゲキサカ) https://t.co/nQuOhxvniF
— EnjoyGoodjob@Toshihiko Araki (@enjoy_goodjob) 2018年6月29日
追記【時系列と流出元】
日刊スポーツ以外に、サンケイスポーツ、スポーツ報知、スポニチも報じていました。
長友や本田が訴えた、ポーランド戦の先発情報漏洩記事、俺の知っている限りではサンケイスポーツと日刊スポーツ。
サンケイスポーツははっきりと
「非公開で行われた試合前日の紅白戦では」
と書いてるな。なんの為の非公開かって話よ。長友が報道陣に異例のお願い…“スタメン漏洩”に「残念だった」 pic.twitter.com/lfjDZsCm9Q
— ぐっち (@gutti045) 2018年6月29日
スタメン漏洩問題。とりあえず確認できたのは
・スポーツ報知
・サンケイスポーツ
・日刊スポーツ
の3紙。 テレビとかは未確認。長友が“スタメン漏洩問題”に言及「ちょっとした情報も命取りになりかねない」(SOCCER KING) – Yahoo!ニュース https://t.co/wQkNT83saC @YahooNewsTopics pic.twitter.com/ToUOkBU7Yy
— 稔 (@minoru12) 2018年6月29日
朝刊紙の中で日刊スポーツ、スポーツニッポン、サンケイスポーツ、スポーツ報知の4紙は、セネガル戦から6人のメンバーを交代させる大胆策に打って出ると報じている。
どこが最初のニュースソース(ニュース元)で、どこが後追い記事なのでしょうか。
一応、ネット上に記事が公開された時間を調べたので時系列順に並べてみました。
日刊スポーツ 西野日本、決勝Tへ先発6人代え!武藤岡崎2トップ 6月28日 4時49分
スポニチ 西野監督“超勝負手”!先発6人入れ替えも 酒井高を右MFで初起用 6月28日 5時30分
スポーツ報知 西野監督、ポーランド戦へ“秘策”大迫&乾を温存も 6月28日 6時0分
iZa(産経デジタル) 岡崎、武藤と2トップも!西野監督が6人入れ替えテスト ポーランド戦 W杯 6月28日 8時38分
これだけ見ると、やはり日刊スポーツの記事がもっとも早いようです(朝刊で紙面としていっせいに販売されるとしたら、ネット上のアップされた時間はあまり関係ないのでしょうか。ちょっとその辺の事情はわかりません)。
情報の流出元については、唯一産経だけが、「関係者」という形で報じていました。
試合開始23時間半前から非公開で行われた紅白戦。関係者によると、ここまで2試合を同じメンバーでスタートしてきた指揮官は、先発6人を入れ替える“大シャッフル”を敢行した。疲労の色が濃かったFW大迫、MF香川、MF原口、MF乾、MF長谷部、DF昌子は控え組に回したという。
この記事を読む限り、なぜ情報が事前に漏れたか、という流出元については、長友選手が言うように「内部から漏れている」可能性が高いようです。