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エモいの意味
ここ数年、若者のあいだで頻繁に使用されるようになった言葉に「エモい」があります。
日常的に使われる「エモい」、一体どういう意味なのでしょうか。
意味は、感情が揺さぶられたり、哀愁が漂ったり、言葉にできない悲しみのような感情が湧き上がってくる心境を指します。
沈んでいく夕陽やひとりぼっちの帰り道、桜の散る春の刹那、こうした風景や風景を見て生じる感情を若者たちは「エモい」と名付けています。
これは和歌や随筆など古文に登場する、「いとをかし」や「あはれ」という言葉の意味とよく似ています。
日本語学者の飯間浩明も、同様に古代の「あはれ」と似た意味であるとしており、「『いとあはれ』と言っていた昔の宮廷人は、現代に生まれていたら『超エモい』などと表現していただろう」と述べている。
試しに日本の古典のなかから清少納言の「枕草子」の冒頭の一節を紹介します。
その後、この「枕草子」の随所に「エモい」を入れて意味を解説したいと思います。
秋は夕暮。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、からすの寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。
まいて雁(かり)などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。
出典 : 清少納言「枕草子」
これをざっくりと「エモい」を補いながら現代語訳にします。
秋は夕暮れがエモい。夕陽がさして山の端にたいへん近くなっているところに、からすが寝ぐらに行こうとして三羽四羽、二羽三羽、と飛び急ぐ、そんな様子さえもエモい。
まして、雁などが連なって飛んでいるのが、とても小さく見えるのは、もうめちゃくちゃエモい。ヤバい。泣く。
出典 : 清少納言「枕草子(エモい ver)」
感受性の繋がりを感じて面白いですよね。
ちなみに、この部分も含め実際の冒頭は、原文と現代語訳が並んで載っている「枕草子」を読んでみて下さい。
エモいの由来(語源)は
それでは、「エモい」の言葉の由来(語源)とは何なのでしょうか。
この「エモい」の「エモ」というのは、実は英語の「エモーショナル(感情)」が由来となっています。
一方で、ツイッターでは「エモい」の由来について、次のようなユニークな説も挙がっています。
エモいという日本語、どうやら容易に言語化できない複雑な感情を表す言葉として運用されているので「エモいの語源はエモーショナルではなく『えもいわれぬ』である」というのが説得力を帯びはじめている。
— 膝枕はぐ (@haghizamacla) 2018年8月9日
「エモい」の由来は、日本語の「えもいわれぬ」ではないか、というのです。
えもいわれぬ、というのは、「言葉にできない」という意味で、たとえば、「富士山の夕陽は、えもいわれぬ美しさだった」といった風に使われます。
この「えもいわれぬ」の最初の部分をとって「エモい」と言うのではないか、という声は確かに多く、実際に「えもいわれぬ」の略語だと思っていたという声も多数あります。
ただ、もともとの由来は、やはり「エモーショナル」のようです。
でも、不思議で面白い偶然ですね。
薩摩の国の「夏」がエモい。 pic.twitter.com/u7bSBfqXFr
— Takehiko (@Takehik67337583) 2018年8月22日