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なぜアイスランドは強くなったのか
人口35万人、北欧の小さな島国アイスランドのサッカーが世界を驚かしています。
アイスランドは、2016年に欧州選手権でイングランドを破りベスト8、その後強豪ひしめく欧州予選を勝ち抜き、ロシアワールドカップにも初出場を果たしました。
アイスランドのサッカー競技人口は3万5千人、選手の数はわずか1万7千人です。
アイスランドは2012年にはFIFAランキング131位、このときの欧州選手権では予選敗退、1勝1分6敗という散々な結果でした。
それが現在は、なんとFIFAランキング22位。
なぜ小国アイスランドのサッカーはこれほど強くなったのでしょうか。その強さの理由や特徴についてまとめました。
黄金世代
まず、現在のアイスランドが強い理由として、10代の頃から欧州の強豪国と渡り合ってきた黄金世代がA代表に揃ったということが挙げられます。
あとでも触れますが、アイスランドは2000年以降にサッカーのできる環境を増やし、また、2002年から指導者の資格としてUEFAライセンスの保持を義務化しました。
こうして幼い頃から充実したサッカー教育を受けられるようになったことが、のちの「黄金世代」に繋がったのでしょう。
スウェーデン出身の監督の指導
2011年から6年間アイスランド代表の監督となったスウェーデン出身のラーシュ・ラーゲルベック監督の指導も効果を発揮しました。
彼の意識改革で「勝者のメンタリティー」が注入され、また彼の堅守速攻のスタイルがアイスランドにはまりました。
国のスタイルと合った指導者のもと、長い時間をかけて自分たちのサッカーのスタイルを確立していきました。
仲間との協調性
自国のチームスポーツを研究しているアイスランド大のビーザ・ハルドルソン准教授によれば、アイスランドのチームスポーツには一つの特徴があると言います。
それは結束力です。
アイスランドの国技であるハンドボールがオリンピックで銀メダルをとった際に、あるデータだけが他国と比較して突出していたそうです。
そのデータというのが、「決勝までの全試合の合計で、得点などをチーム全員で喜び合った回数」です。
アイスランド代表がチーム全員で喜んだ回数は299回で、対戦国の計135回の2倍以上でした。仲間同士の結束力、チームワークの良さ、協調性、これらは小さな島国ならではの特徴なのかもしれません。
空き地の活用
人口はそれほど多くはないので、空き地がたくさんあるアイスランドでは、2000年以降FIFAの助成金や自治体の振興策でサッカーのできる環境を整えました。
こうして日常的にサッカーに触れ合える環境を用意したことも、アイスランドサッカーが強くなった理由の一つにあるようです。
指導体制
アイスランドの指導体制にも、強さの理由が隠されていました。
アイスランドで指導したいと思ったら、欧州サッカー連盟(UEFA)の指導ライセンスが必須です。
アイスランドで指導者になりたかったら、UEFAの指導者ライセンスは必須だ。UEFAライセンスの保持を2002‐2003シーズンに義務化したことによって、全ての指導者が「少なくともUEFAの指導者B級ライセンスを保有する」という「特異な環境」が実現。
現在アイスランド国内では70%の指導者がUEFAのB級ライセンス、30%がA級ライセンスを保持している。
アイスランドに特別優秀な名コーチがいるわけではないとアイスランドサッカー協会の技術委員長は言います。
ただ、人口自体が少ないので、必然的にライセンス保持者に幼い頃から指導を受ける機会が増えます。
人口が少ないから、幼いときから資格を持ったコーチに指導を受けられるメリットがある。私の5歳の次男はUEFAのAライセンスを持つコーチから習っている。幼いときに良いコーチに恵まれれば、上達も早い。だから、楽しい。だから、続けようと思う。(アイスランドサッカー協会技術委員長)
また先ほども触れたように空き地を活用し、サッカーのできる空間も増えたので、練習が終わっても子供たちは自由にボールで遊べる環境が整っています。
アイスランドが強くなった理由のまとめ
アイスランドのサッカーが強くなった理由。
それは、黄金世代が揃ったことや、長年指揮をとった指導者との相性によって「自分たちのスタイル」が確立されていること。
また、小国ならではの結束力や協調性があること。
そして、幼い頃からよい指導者に恵まれ、自由にボール遊びができる場所があることで、サッカーをいつまでも好きでいられる環境が整っていることにあるようです。