おぼつかないの意味や語源とは
日本語で、「覚束ない(おぼつかない)足取り」という言い回しがあります。
先日、ふと疑問に思ったことが、「覚束ない足取り」って大人にも使えるのかな、というもの。
そこで今回は、その辺りを中心に色々と調べてみたので解説したいと思います。
まず、この「覚束ない(おぼつかない)」とは、一体どういった意味でしょうか。調べると、「覚束ない(おぼつかない)」には、複数の意味がありました。
「おぼつかない」の意味
①確かでなく、はっきりしない。ぼんやりとしている。
②うまくいく見込みがない。疑わしい。不審だ。
③しっかりしていない。心もとない。頼りない。
④長らく対面しない。無沙汰している。 待ち遠しい。早く会いたい。
なんとなく、③の意味が馴染みがあるかな、と思います。
次に、「覚束ない(おぼつかない)」の語源について見てみましょう。
「おぼつかない」の「おぼ」は、「おぼろげ」などの「おぼ」と同じ語幹です。
そして、「ない」というのは実は否定の「ない」ではなく、形容詞を強調する意味合いの言葉(「切ない」「せわしない」など)です。
そのため、「おぼつく」という動詞があるわけではなく、「おぼつかない」という一つの形容詞であり、「おぼつきません」といった使い方もしません。
また、「覚束ない」という漢字も当て字なので、「覚束」という言葉自体ないようです。
覚束ない(おぼつかない)足取りは大人でも使える?
冒頭の「覚束ない(おぼつかない)足取り」という言葉に戻りたいと思います。
これは、③の意味に当てはまり、どこか心もとなく、頼りなさげに歩く様子を指し、歩き始めたばかりの赤ん坊に対して使われることが多いでしょう。
しかし、特に「赤ん坊」といった意味が特別込められているわけでもないので、大人に対しても使える用語です。
振り返ると、さっき新聞を広げていた中年の男が、おぼつかない足取りで入ってくるところだった。
出典 : 宮部みゆき『龍は眠る』
と、宮部みゆきさんの小説で中年の男(大人)にも使用されています。
以上、「(覚束ない)おぼつかない」という言葉の意味や語源について調べてみました。