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なぜサッカーベルギー代表は強くなったのか

ベルギー、サッカー王国ブラジルに勝利

サッカーW杯準々決勝で、「赤い悪魔」ベルギー代表が、「カナリア軍団」のブラジル代表を撃破し、ベスト4進出を決めました。

ブラジルは、今回は個の力だけでなく組織力もある、として優勝候補の筆頭に挙げている日本の解説者も多くいました。

そのブラジルを、ベルギーが破った。

ただ、ベルギーはFIFAランキング3位で、ブラジルはFIFAランキング2位なので、このランキングだけを見ると決して下克上ということでもないでしょう。

それにしても、ベルギーは一体なぜこれほど強くなったのでしょうか。

2002年の日韓W杯で日本がベルギーと予選リーグで闘ったときは、そんなに強いというイメージはありませんでした(日本は2ー2で引き分け)。

その後2014年の前回大会まではW杯に出場もできませんでした(前回はベスト8)。

ベルギーのFIFAランキングの10年の推移を見ても、2009年の段階では、日本よりも下で、66位でした。

それが見る見るうちに上昇し、2015年には1位になります。

そこで、ベルギーがなぜ強くなったか、その理由について調べてみました。


なぜベルギーは強くなったか

画像 : ベルギー代表、W杯予選へ28名招集…アザールやデ・ブライネら選出

約10年でFIFAランキングが66位から一時は1位になるなどの急成長を見せたサッカーベルギー代表。

なぜこれほど強くなったのか、その理由として、あるブログでは「競技人口の多さ」「移民」の二点について紹介しています。

ベルギー成長の理由を、イタリアのガセッタ・デッロ・スポルト誌はこう記す。

「スポーツ人口の多さ」

「ベルギーは総人口の50%が何らかのスポーツをしている、という統計とともに、イタリアがわずか29%であることを付け加えている(Number誌)」

また、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙は、「かつて歴史的に対立していた地域同士(たとえばフラマン語地域とフランス語地域)が時を経て、移民2世の時代になって団結したから」と、その理由を述べる。

現在のベルギー代表の主力は、その多くが「移民の子ら」。言ってみれば「寄せ集め」でもある(コンゴ系、モロッコ系…)。

しかし逆に、その人種ミックスが過去のイザコザを消した、と「人種のるつぼ」たるアメリカ人は考えたようだ。

出典 : ベルギー代表は、なぜ強い? [サッカー]

ベルギーではスポーツが国民のあいだで広く浸透し、特にサッカー人気は非常に高いようです。

また治安の悪化や対立など懸念材料だった移民問題が、二世になって団結し、一つの力になったこともベルギー躍進の理由の一つに挙げられるようです。

ベルギーの絶対的エースで今大会すでに4得点を挙げているロメル・ルカク(25)選手の両親はコンゴからの移民だ。他にも、ベルギー代表には、コンゴにルーツを持つ代表選手が5人いる。

アフリカや東欧から出てきた選手は、まずベルギーに行ってクラブチームに所属し、欧州のビッグクラブに移籍する。そうした中継点のような国になっているベルギーは、コンゴからダイヤモンドの原石のような優れた身体能力を持つアフリカ系選手などの移民を取り込んで彼らを育てているのだ。

出典 : “ダイヤモンド”がベルギーをサッカー強国に!? 移民・多様性に日本は対応できるのか

先ほども触れたように、ベルギーは長い低迷期にありました。

その頃は、ベルギーもサッカーの代表に移民を選出することに積極的ではありませんでした。

しかし、そうした状況を打開するために、方針を転換します。

優れた身体能力と、高いモチベーションを持つアフリカ系移民の子どもたちに英才教育を施し、各クラブに育成機関を設けると同時に、アカデミーを作って、アフリカの子どもたちを呼んで育てたのだ。その結果、ベルギー代表は世界トップレベルになった。

出典 : “ダイヤモンド”がベルギーをサッカー強国に!? 移民・多様性に日本は対応できるのか

アフリカ系の移民に、英才教育をほどこすようになったのです。

カッコウの托卵

また、サッカーキングの記事によれば、ベルギーの育成改革も大きな要因として注目されています。

その育成の手法というのが、「国産」にこだわらない、ということです。

ベルギーには近隣諸国にオランダやドイツ、フランスなどのサッカー強豪国がたくさん存在します。

そこで、こうしたサッカーの育成環境が整った国のチームと提携し、若いうちから学ばせる、という方法に至りました。

象徴的なのは1999年、ベルギーの小クラブであるベールショットと、オランダの強豪クラブであるアヤックスとの間に結ばれたユース育成の提携だ。アヤックスはベールショットにコーチを派遣して育成組織を整備し、優秀な選手は優先的にアヤックスに加入させる。

この流れができたことで、DFトーマス・ヴェルマーレンやヤン・ヴェルトンゲン、トビー・アルデルヴァイレルトといった現在のベルギー代表が、アヤックスで才能を開花させた。

チェルシーのMFエデン・アザールも、隣国フランスのリールで育てられた選手だ。

出典 : 5年前は68位…“赤い悪魔”ベルギーをFIFAランク1位に導いた育成論

カッコウには、托卵(たくらん)と呼ばれる変わった習性があります。

托卵とは、他の鳥の巣に卵を産み、その鳥に子供を育てさせる習性です。

托卵される仮親は、一種類ではなく、オオヨシキリ、モズ、ホオジロなど20種類を越える様々な鳥に及ぶそうです。

これと似たような形で、ベルギーもサッカーの育成を近隣の強豪国に委ねた、という風にも言えるでしょう。

さらに、それだけでは終わらず、育成を委ねることを経由して、ベルギーは育成のメソッドを国内に輸入してくるという流れをつくっていきます。

隣国に育成を委ねて徐々に育成環境が整備されてくると、2005年頃から新しい流れが生まれてくる。隣国の育成メソッドを国内のビッグクラブに移植する動きが出てきたのだ。

出典 : 5年前は68位…“赤い悪魔”ベルギーをFIFAランク1位に導いた育成論

たとえば、具体的には次のような形で行われました。

その始まりは、先に述べたベールショットとアヤックスの提携でスカウトとして手腕を発揮していたハーザール氏を、ベルギー最大のクラブであるアンデルレヒトが引き抜いたことだった。FWロメル・ルカクやFWドリース・メルテンス、現代表主将DFヴァンサン・コンパニは、彼がアンデルレヒトで発掘した選手だ。

出典 : 5年前は68位…“赤い悪魔”ベルギーをFIFAランク1位に導いた育成論

国内の各クラブが独自に育成を強化する一方で、ベルギーサッカー協会は、世界最高峰のプレイヤーを育成するために、「長所徹底育成主義」を導入しました。

持って生まれた身体能力をとことん伸ばす。左利きには右足の能力を改善するよりも左足を磨くことを優先させる。天性の感覚を持つドリブラーやチャンスメイカーには自由を与える。世界最高峰のプレミアリーグで活躍するトップタレントたちが、この哲学によって育てられた。

出典 : 5年前は68位…“赤い悪魔”ベルギーをFIFAランク1位に導いた育成論

バランスのよい選手よりもスペシャリストを育てる。そして、スペシャリストには自由を与え、創造性をぞんぶんに発揮させる。

こうした育成方法によってベルギーは今のようなスター軍団をつくっていったのでした。

以上、「ベルギー代表がなぜ強くなったか」でした。