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浅野いにお『零落』|結婚と離婚、漫画家の苦悩

浅野いにお『零落』|結婚と離婚、漫画家の苦悩

浅野いにおさんの『ソラニン 新装版』と合わせて発売された単行本『零落(れいらく)』。零落という言葉には、「落ちぶれること」「草木が枯れ落ちること」といった意味があります。

漫画の内容は、そのタイトルの通り、漫画家の苦悩や狂気、没落を描いた作品となっていて、浅野いにおさんの真骨頂である陰鬱なトーンが全体を覆っています。

さて、この『零落』を読んでいて気になるのが、ここに出てくる生々しく赤裸々な心情や情景の描写です。

この漫画に登場する話は、果たして浅野いにおさん本人の実体験をもとにしたノンフィクションなのでしょうか。

この件について、浅野いにおさん自身が以前インタビューで、「実際にあった話」を多く使っていること。

また、「自分の感覚をなるべくまっすぐ伝えたかった」と語っています。

いかにリアリティを感じられるかが、自分の中でこのマンガに関しては重要になってきて。だったらなるべく実際にあったことを描くしかない、と。

自分の今の感覚をそのまま描きたかったので、この設定しか考えられなかったですね。余計なことを考えなくて済みますし。

浅野いにおインタビュー、あの頃の自分を綴った「ソラニン」から、“今”を描いた「零落」へ|コミックナタリー

もちろん、そのまま全部本当にあった話を使っているわけではないでしょうが、実体験を盛り込んだ、という言葉の通り、そのリアリティは『零落』を読んでいてもひしひしと伝わってきます。

 

浅野いにお、結婚と離婚

以前から、浅野いにおさんは結婚しているのかどうか、離婚したのではないか、といった噂がネット上にありました。

この結婚および離婚についても、『零落』のなかで触れられています。

作品では、主人公の漫画家は、編集者の女性と結婚します。

その後、妻である編集者が次の有望な漫画家(女性)に熱心になることに嫉妬し、次第に喧嘩が増え、離婚に向かい、そのストレスもあって風俗通いにはまっていく、といったエピソードがあります。

これも実際にあった話なのでしょうか。浅野いにおさんは、この辺りの事情についてもインタビューで答えています。

僕は30代になってから、歓楽街に通うようになったことがあって、最初はそれを描かなきゃと思って始めたんです。

なぜ通うようになったかっていう元を正すと、僕は以前結婚していたんですけど、それがいろんな問題の中核になっていて。そこを描くのがこの作品の一番重要なところだろう、っていう結論に途中で行き着いたんです。

夫婦喧嘩のエピソードも、もともとは予定してなかったし、こんなに強調して描くつもりはなかったんですけど、一番大事なのはここだと思って。

浅野いにおインタビュー、あの頃の自分を綴った「ソラニン」から、“今”を描いた「零落」へ|コミックナタリー

浅野いにおさんは、「以前結婚していた」と語っています。

そして、漫画に描かれているように、離婚(夫婦の喧嘩)をきっかけに歓楽街に通うようになったそうです。

その他、驚くような実体験が盛り込まれた作品だからこそ、『零落』には強く迫ってくる何かがあるのかもしれません。

 

追記、漫画家との再婚と、二度目の離婚

2018年、9月25日、浅野いにおさんが、同じく漫画家の鳥飼茜さんと結婚するという報告が「webちくま」を通じて行われました。しかし、その後、2022年に離婚します。

前妻の鳥飼さんは、ニュースなどで取り上げられるうちに、世間の目やイメージに執着するようになり、受け入れられない相手の意向もわかったふりをして受け入れていた、と浅野いにおさんとの結婚期間のことについて語っています。

実態のない虚像に囚われて生活していたものの、離婚してからは、地に足のついた、健康な普通の感覚が戻ってきたそうです(漫画家・鳥飼茜さん 離婚を経て“世間の目”から解放され、たどり着いた「新境地」)。